エセー

色々やってみる

大変な時代

ロシアによるウクライナ侵攻から2か月が経ちました。報道を見続けることしかできず、怒りとやるせなさが募るばかりですね……。かと言って、この苛立ちを日本にいるロシア人にぶつけるのは間違いでしょう。この戦争の責任のほとんどはプーチン大統領にあります。

今日のNHKクローズアップ現代」で、現在のロシア人がどう考えているのかを伝えていました。徹底したプロパガンダ言論統制によって、世界との認識の断絶が見られます。「善意」によって戦争を支持している彼らの姿を見ていると、第二次世界大戦前の日本もこうだったんだろうなあと、複雑な気持ちになりましたね。

この番組の中で特に印象的だったのは、あるロシア人一家の話です。両親はウクライナに親しい知人がいるようで、戦争に反対していました。しかし、息子さんはネットで情報を得ていて、取材スタッフに「遺体を移動させているウクライナ兵」の映像を紹介した上で、戦争を支持していました。その映像は字幕などで全く別の映像であることが示されていて、ロシアのプロパガンダの凄まじさを伝えていました。

でも、私が本当に怖いと思ったのは、NHKが別の映像であると伝えたものが本当にそうであるのか、私には判断・検証できないことでした。つまり、真実が分からない。これは少し前に「ディープフェイク」についてのドキュメンタリー番組を観ていた時にも思ったことです。

果たして、NHKが示した事実を事実として認識する私と、ネットの映像を事実として認識するロシア人青年との違いはあるのでしょうか?

ここで重要になるのが、ニュースソースの信頼性ですね。その信頼性を担保するのは、言論の自由という社会的環境と、社会の透明性だと考えられます。その環境にあるメディア、特に常に厳しい目を向けられているNHKであれば、それなりに信用してもいいと判断しているのです。それでも、括弧付きの「事実」であることを忘れてはいけないのですが。

正直、かなり面倒くさいです。でも、その面倒くささが大事なんですよね。

そんな訳で私達は、不安定で不確実、何が真実か分からない世界の中で、手探りで生きていかなければならない大変な時代に生きているのです。